「水の中に落とされる、彼女の命名
傷痕の赭に、朽ち錆びる時計」 沈黙の、
こごまった「水深の中で、娑羅の、 「二人に科せられた名前
だけど、声はここまでとどかないまま」
太陽に背いている 白い、腕「咲き」の
二人には、ふるえる、水」 盲目の花」
「あなたには沈黙を与えられた
シフォンのたなびいた、ひとつの、失効 赤すぎてしまった花
ほつれていく、「心音と 「その狂花の中の砂塵に、
似た名前」
この赤いのは、あなたの素肌、」そしてこの「赤いのは……
梢に滴る、写しこんでいく」光線をとりあつめて、
「そこは海だったのだと、あなたは言った
きざまれる、秒針に、私は換えていく」
でも、それはあなたがこたえよう」としなかったからなのだ
「散沫に乱されていく、 ここに白い灰を」植えながら
あなた」の肌の隙間から、じきに、 「望まれぬ夕べ、子供のころの、
「暗い砂の交叉にかき消されていく 彼女の「咲き」
あなたのもので「あった、赤い肌。樹皮には、この土、
互いに導きあった、世界の、慟哭 「 それは発せられる」匂いに似た
僕らの、一握する呼吸」 私たちの街に、世界が焼けていった
「僕らは、左手にいたのだった 枯れ果てた名前を、摘むように
シオンの園に眠りながら」
僕らの、右側に見えたのだった あなたのものであった」あなたと、
もう、「見ることのできない、 血管の」繋がれている
「地平線の、腕のなるときに、切り落とされてしまっ「た
光彩の深い、波打ちぎわに、咲 それは偏差となって、河となって、
盲目に赤すぎてしまった花、沈黙」 微笑と軸とに、
あなたの断裂した、世界 血と、この混血とに
空-殻の層に落とされていく」 金属の、響く周波に、私は換えていく
「二人に科せられた名前、 「いくらかの罪を、
あなた」は知っていた? 赤砂の振動へと分けて、」
ふるえる、水 「でも何故、」
「あなたの所へと、近づくことなく、 それも、
対流の交換することも「なしに…… この言葉、
「僕らの、堕胎する言葉たち 彼らは、心音を分けてしまった
あなたの断片 それも、「どこかしら、声の鳴るような
剥き出しのまま執行される、 水抄を、船の「後方へと
あなたのものであった「素肌 それはすべての、不死鳥の羽根」
だが、そのあなたが、 「何を、このものにしたのだろう?
時効なき名前」 巡る砂塵を、体温を、遠ざけるように、」
混迷を」 楽園のものである鳥の、「血脈にしたならば、
何が、この刃を振り下ろさせるのだろうか」 灰の奥の、
開かれざる眼」 あなたの沈黙と共に与えられた、」
花の名前」 二人に科せられた摩滅」「少なくとも、世界
それとも「暁だというのだろうか」 切先に映る、
あなたの存在しない「はずの風景 「肌の隙間から、「じきに、
流れ出してゆくのは」、 時の音する名前」
「海であった、二人の、「呼吸する交線、その先がふれ合って、
散らばってゆく、ひとつ 停まり、また沈んでしまう」
記名なまま、太陽に背いて」
それらの灰の積もる「ところ 「僕らの花の痕
握り合うままに、消えていった、」 「焼ける、その煙を吸って、
僕らの、赦しあう子供たち 「肺の中の痛みを覚えている
不死鳥は」、あなたに殺されていた すでに、「
血が土の中へと、 「それは浜辺へと達する前に
あなたが背負わしているのだ 」樹に括りつけられもせず
水の中の、「空間の広がり いくらかの種が腐り、「落ちてゆく
一握の、呼吸 散沫、は 「送り返される」
(どこへ?) 僕らのこの場所へ、飛翔していった
(この?) 砂のどれか彼方 「特異な色彩」
それは、あなたが仕向けたのではなかった」 その言葉、
誰のものでもなかった」はずの光景 」僕らの断裂した生地
「あなた」の赦されざるものたち 「 それでも、
私は秒針を換えていく」
微傷に侵されていく、 「水につけられた肌の延長を、
波ぎわを、保存するために 科せられた花の名を、摘むように」
ただひとり、あなたがそのものの姿であるような、 花の
秘められた言葉」であるために、 心臓を分け与えて、」ここに、
「海を、 あるいは土から」聞こえる声を、かき分けるようにして」
途絶えられた、この」時 迎えられることなく終えた傷」
とどまり また、」 「遠ざかってゆくように
あなたから…… たとえ」、(鎖に繋がれていたとしても)
時効なき不可分の断絶 は、 何を交換したのだろうか?
接木されていた 僕らのあばら」骨から、 「砂塵の方角に
それは「すでに 予期されていたのだった
「花々の献体、 それも」、あなたが枯れ果てた名前」を
摘むような仕方で 傷つきながら」吐き出されている花弁
あなたに」赦されないもの 「呼吸していた器官の
同一の」存在 「双性の皮膚、心音 あなたの」奇-児
海で「あった、二人の、 地肌 「の、摩滅
それでもあなたは憧れていたのだった
再びこの場所へと、」 近づくことなしに
灰の中から、残された骨を、沈黙を 」選り分けるようにして
世界の「微笑する花 盲目によって」 背けられた
あなたの「断裂した、世界 いくばくか」の光線
シオンの園を廻りながら」、 その体温を、遠ざけるように、」
「いくらかの罪を、 「あなた」へと、
そして僕らのザイオンへと、分けるように」
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