2011/06/04

"Collusion"

 窓の外には雨が、ただし鏡写しの、ただし子供だましのような表面に
怪物じみた花 それも多元に、神経を分断する細毛を
 蜻蛉の体内で、その鱗形を駆使するような、この生の仕方
これは種を撒くのではない むしろ螺旋を巻く動脈の脈打つパルスが
地肌を、それも枳殻 桔梗 竜胆の極めやかな声のテンポで
 ただ滑ってゆくものがある ただそれを区別しなければならない
咆哮の打撃と、あなたの彷徨する方角とを、この濃厚な蜜の瞳孔の
鏡において開かれるような、その切れ目を刻む鋏の、密輸する襞の
 うち伸ばしてゆく身体の傷口 あらゆる花の根茎の閉口 蘭の中に
満ちる線香の数式のような方形 あなたの肌理の、つまりは
 メビウスの輪形に触れる指先の感覚から、その間隔へと
立ち上る花に、自ら喰らいつくような輪郭の造形、しかも、
爪の先からたれる果汁に、あなたの意識が取り壊されるような
 その、蒼白な影 その、隣接する白い深淵の観劇と、
 屠殺される氷原の蒼ざめるカルマ 血流を抜き取られた果実の幻想
惨劇 を、見つめるあなたの無垢 それも腕を切り取られたばかりの、
どこまでも深く沈降する、イマージュの無化される器官めがけて
 広がってゆく明白なその震源へと、彼岸を渡り、鏡の湖畔へと
縫い付けられる それも雨の降るように施行される、波状の抜糸
 あなたの根茎への逃避行 その水芭蕉のごとき場所 傷口の腐食する
身体の、響き渡る阿鼻叫喚のための蜜の過剰、その、群がる蝶の摂取する
 多数の性の細胞群 千切れたままの素肌と、果汁の彩血との交換
したる雫の散抹は、それ自体で新たな結合子を、表層の開口部から
その背景にある感覚へとあなたを連れ戻そうとする、それも比類なき
 有翼の意味において、雨の晩に吐く息に潜在する河川に、うち棄てられる
片腕に咲いた花束に、群がる黒血色の装飾 つまりは、破片の縁に
取り付けられた憂色の破線 皮膚の表層に秘められた断面図の交感、
そのような身体を包み込む糸々の軋む喧騒、あるいは、断頭台に
 首をゆだねる白鳥の咆哮 嗚咽 その、喉から洩れる汚水のなかで
揺らぎ孕まれる、あなたの次々に分裂する炸裂する意識 まるで
神経の澪を抜き去さるために、惨劇を引き起こす眼の中の
 蠢く小さな精液の塊 それも熟れた果実から放出される器官を
貪欲にむさぼる群性の旅団、天輪のごとき瞳孔の開ける形跡、
曙光の裂ける追想、もしくは、物質性の記憶 月輪を蝕む
 陰性の雨音、窓の外の空間的差異(ディアフォラ) ただし子供たちの
戯れのように、ビロードの生地を表皮へとトレースする仕方で
分断されてゆくのはこの種-子、鏡の砕け散るひとつひとつに
写しこまれた蝶の存在 翅の羽ばたく、それも、傷口から
 搾り取られる蜜のさなか、あなたの記憶の首 を、しめるイマージュ
幹細胞から生み出され、血小板から沸き立つ花々 それも
心臓の絶え間なき鼓動によって、夏至の太陽を喰らいつくそうとする
 歪み有る性の尾翼、翼燐の構造を起動させる彩-血の群体
 そして世界-内-胎内の循環器系に廻ってゆく、その体系のなかに
突如打ち鳴らされるザイオンの晩鐘 だがそれは動脈に見出される秩序なき
群蝶、その落とす翅の一片に過ぎない! 有翼の共同体は
 受肉する器官を失いながら終に、鏡の深みにまで到達する それも
この窓を叩く雨を失効させる時間のうちにおいて、複眼のうちに
 突き刺さるようにして成る、無名の花々の種-子を孕みながら
だが、どの場所へとその受精する卵は生えそろうのだろうか?

あなたは夢想する この混花-秋桜(カオズモーズ)の咲き誇る千の高原(ミル・プラトー)を、
蝋のごとく流れ、一過の白い深遠となって海へと生成してゆく、
その飛沫のごとき遊牧者(ノマド)の姿を 地を踏みしめ、混花-秋桜(カオズモーズ)の香を充実せしめる
機械仕掛けの時間のなかで戯れる無垢の子供たち の、イマージュ

それは無人の島、つねに外延を欠いた輪郭、メビウスの輪をなぞるように
持続する海流 鏡の表面にトレースされた晶洞 その結晶の、純粋な「彩」

チェス盤のモザイク模様に振られる骰子、その隙間からまた結晶が生み出される

この群島は収束する それも、水の中の海の無限に 落とされる種子、
錨を表面に降ろしながら、新たな桝目を海路として、生成する花弁
ここには誰も住まうことは無い たとえ詩人さえも 

あなたの瞳の、想起される海 無花果の樹の一本なる、追憶に住まう孤島

「無い(nein)」の絶えざる眼差しから、花咲いたのは深紅の薔薇
遊牧者(ノマド)の滞留のさなか、それも賛美歌から見出されたように
分け与えられたその火種 すべての予告された者たち に、
もたらされる日輪の果実 しかし沈黙によって、その虚無のうちに

故郷の深い森 その、異邦のものの黄昏 かつての蒼空のなかで
花々の戯れが、あらゆる幹を分割する 石化した秘言、その、花咲く罌粟の散逸によって
海流は再び回帰する あなたの閉ざされる眼に あるいは、子午線を経由する記憶に
ただ鏡面だけが、その据付けられた世界の蝶番を外してゆく

あなたの夢想する平安 だがここは錯綜する、混花-秋桜(カオズモーズ)の園
怪物じみた花の体系 その、乱視のごとき「彩」の光景 そこにあるのは
汚血の差し向けられる身体、白鳥の翼を失ったニケ、その飛翔に沈む難破船
 そして狂乱するあなたの、神々

突き刺さるようにして生る無記名の花々 それも種-子を孕みながら、
複眼のうちに、この窓を叩く雨を失効させる時間のうちにおいて 受胎する
 器官を失いながら終に、鏡の深みにまで到達する 群蝶
 その落とす翅の一片 有翼の共同体に突如打ち鳴らされるザイオンの晩鐘 
だがそれは動脈に見出される秩序なき子宮-内-世界の循環
 その体系のなかに歪まれる性の尾翼、翼燐の構造を起動させる彩-血の群体
心臓の絶え間なき鼓動によって、夏至の太陽を喰らいつくそうとする
幹細胞から生み出され、血小板から沸き立つ花々 それも
 搾り取られる蜜のさなか、あなたの記憶の首をつかむ、鏡に写しこまれた
イマージュの存在 翅の羽ばたく、それも、傷口から
 分断されてゆくのは、この種-子 鏡の砕け散るひとつひとつに、
戯れのように、ビロードの生地を表皮へとトレースする蝶
陰性の雨音、窓の外の空間的差異 子供たちを迎える曙光の、
 裂ける追憶、もしくは、物質性の記憶 月輪を蝕む群性の旅団、
天輪のごとく瞳孔の開ける形跡、蠢く小さな精液の塊、それも
 熟れた果実から放出される器官を、神経の澪を、抜き去さるための惨劇
眼のなかに揺らぎ孕まれる、あなたの次々に分裂する炸裂する意識 まるで
 首をゆだねる白鳥の咆哮 嗚咽 それは喉から洩れる汚水のなかで
身体を包み込む糸々の軋む喧騒、あるいは、断頭台に取り付けられた憂色の破線
皮膚の表層に秘められた断面図の交感、身体に響き渡る蜜の過剰
 その、群がる蝶の摂取する片腕に、咲いた花束に、黒血色の装飾 つまりは
破片の縁にうち棄てられる翼 あなたの吐く息に潜在する河川、その背景にある感覚
 したる雫の散抹は、結合子を新たに表層の開口部から取り戻そうとする
多数の性の細胞群 千切れたままの素肌と、果汁の彩血との交換
あなたの根茎への逃避行、その鈴蘭のごとき場所、傷口の腐食に
 縫い付けられる波状 それも、雨の降るように広がってゆく
明白なその震源へと、彼岸を渡り、鏡の湖畔へどこまでも深く
沈降する イマージュの無化される器官めがけて
 惨劇 を、見つめるあなたの無垢 それも腕を切り取られたばかりの
カルマ、血流を抜き取られた果実の幻想 その、蒼白な影
その、隣接する白い深淵の観劇と、爪の先からたれる果汁に
 あなたの意識が取り壊される 立ち上る花の、自らに喰らいつくような輪郭の造形、
メビウスの輪形に触れる指先の感覚から、その間隔へと
 満ちてゆく線香の数式のような方形 あなたの肌理、つまりは、
うち伸ばしてゆく身体の傷口、あらゆる花の根茎の閉口 蘭のなか、
 鏡において開かれる、その切れ目を刻む鋏 襞の咆哮と、あなたの彷徨する方角とを、
この濃厚な蜜の瞳孔に示すように、地肌をただ滑ってゆくものがある
 枳殻 桔梗 竜胆 それはひそやかな声において、ここに種を撒いてゆく
 螺旋を巻く動脈の脈打つパルスが、蜻蛉の体内で鱗形を駆使するような、生の仕方
怪物じみた花 多元の神経細胞の連なり、混花-秋桜(カオズモーズ)の純粋な「彩」
 窓の外には雨 ただし鏡写しの、ただし子供だましのような共-身

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