身体によって絶えず突き動かされる呼吸が番われの時間となって紙片を埋め尽く
そうとして、僕は僕のあまり動かない指すべてを使って五つ空間を群生させる。つ
まりはその漣痕を見つめて、僕は君の破壊したのではなかった言葉を待ちわびなが
ら、まぶたの沈みの方へと再び書き加えようとしている。
詩の恍惚の裏切りさえも逃れて、僕は代わる代わる脚韻を拘束する。その肢体の
片側から伝う譜線にのせて、僕はそこに子音を交えたかった。君の安息のため白け
てしまった「死」をいっそう紛らわせるために。五譜の裂け目において闘争する獣
達の名を、墓碑の石にあらかじめ書き加えておくようにして。
天使の膜、 それはとどめない。
それ
を、 土の上に残すこともしない 。
だけど白い地肌 の、煤けた
くぼみの内に、 いったいどれほどの、
柩。
季節の反復のなかで、僕は互いに違う音階をめぐらせる。埋葬された鳥の嘴を閉
ざしたまま、話されることもなくただ血管の中を海が流れていく。手首の先までつ
ながれているこの剥き出しだった心臓、あるいは同一性においてこごまる時を、過
呼吸によって僕は調律する。
すでに肺となったテクストを侵蝕する僕の『埋葬された鳥』と呼べるものと、あ
るいはそうした運動に執拗な緩慢さを伴いながら詩の形象を交える君の視線とは、
海を支える砂の重さと分かちがたく結びついている。
柩の中、灼ける 日輪。
その 残照をしたがえる、 わず
かな羽根
にまで 細波は沈み込んでいく 。
息を 吹きかけて
。 ちぎることを。
冷たく、かくも開け放たれている床の傍らで、代わりに僕はかつて僕のものであ
った肌のイマージュを解放したいと願う。それも雨が路樹の枝を弾くようにして、
僕の鼓動(あるいは君の)シラブルを無視することなしに。
僕が立ち会った季節の日付にうかされながら、左手に向かって掻きむしったのは
散開として番われた断片のあと。水腫とでも砂塊とでも呼べる音域を指定する君の
残していったパロール。あまりにも不釣り合いな僕の断念の余白を埋め合わせるた
めに掘りかえされた『埋葬された鳥』。
五線譜の膜目から挿し込まれる二本の陽光のイマージュ。(だけどおそらくは君の
眼差しを経由している)
閉ざされぬままの 燃ゆる柩。
それはとどめない。 どこかで、
葉枝をかさねている 。 あるいは
樹皮が、波にさらわれている。 それが
もし、 言葉でなかったなら
この余白の端から片端へとインクの紙魚を行き渡らせて、僕はこの譜線と視線と
の交わる地点に新たな「死」を黒く塗りつぶす。やがて巡る天使との契約を、君の
瞳の上において再び結ぶために。冷えきった僕の指先と触れ合った君のすべての指
のイマージュとが、象徴の名を告げる音素の一続きの五線譜のものとなるようにし
て。
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